No.43 「涼のお茶」と「寒のお茶」(東洋医学)

「涼のお茶」には、体にこもった熱をおさめ、暑さによる疲れを解消する働きがありますので、特に夏に飲むのが最適です。涼のお茶の代表は烏龍茶です。

●烏龍茶

烏龍茶は、茶葉を発酵させている途中で釜煎りをして、もんで乾燥させたものです。近年、烏龍茶のカテキンには血中コレステロール値の降下作用があることや、発ガン性物質の働きを弱める作用のあることが注目されています。烏龍茶にはいろいろな種類があり、金桂烏龍茶は、キンモクセイのような香りの高級品です。気をめぐらせる作用があるため、食前や食事中に飲むことで食べすぎ防止に役立つといわれています。

烏龍茶の中でも発酵度の高いものは、東方美人茶と鉄観音茶です。東方美人茶は、胃腸の働きを整えて新陳代謝を活発にし、便秘解消に効果的です。鉄観音茶は、新陳代謝を高めたり、腸の働きを活発にするなどの効果があります。

「寒のお茶」には涼のお茶よりもさらに熱をおさめる働きがあります。

●緑茶

緑茶は、茶葉を発酵させずに蒸し、もんで乾燥させたものです。酸化酵素の働きが失われるため、緑色が保たれています。特に夏に飲むことがすすめられ、中国では暖かい南の地方でよく飲まれています。

近年、緑茶には、がん細胞の増殖を抑制する作用があることや、リンパ細胞の免疫力を高める作用があることが注目されています。緑茶は、お茶の中で最も多くのカテキンを含んでおり、その働きは幅広く、主なものだけでも、抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、コレステロール値低下作用、体脂肪低減、血圧降下作用、抗アレルギー作用、虫歯予防などが挙げられています。

また、お茶の抽出液で比較した場合、最も多くのカフェインを含んでいるのが、緑茶の一種である玉露です。次に紅茶、煎茶と続き、煎茶と烏龍茶は同量です。カフェインには、覚醒作用や興奮作用、利尿作用があるのはよく知られているところです。

<補足>

●黒茶(プーアール茶)

プーアール茶は、茶葉に麹菌を加えて発酵させたものです。独特の香りがあり、苦味が強く、長く熟成させることで飲みやすい味になります。発酵させたお茶を硬く圧縮して、四角や円盤状にしたものが有名です。近年では、腸チフス菌の抗菌作用が注目されています。先日行った台湾でも、確か25年もののプーアール茶を進められ、とても高価だったことを記憶しています。

追記<コーヒーや緑茶の飲み方>

コーヒーの苦味は、相克の関係にある「辛味が補う肺」の働きを抑制するため、風邪を引きやすい状態をつくると考えられています。そこで、苦味のコーヒーを飲む時には、辛味を取るためにシナモンの粉末を入れるようにすると効果があります。シナモンは熱の食物でもあり、時折喫茶店でもシナモンコーヒーを見かけます。気軽に試してみてはいかがでしょうか。また、同じく苦味の緑茶を飲む時は、辛味の漬物などを食べながら飲むといいようですよ。

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