No.66 脳と運動器の不思議な関係(2)

s-D1000447「受信と発信、さらに中継も担う脊髄」

例えば、裸足で歩いている時に、床に落ちている尖ったガラス片を気付かずに踏んでしまったとしたらどうでしょう。

おそらく、小石を踏んでしまった時とは段違いの強烈な刺激を受けた瞬間に、とっさに足が跳ね上がってガラス片から遠ざかるとともに、足裏の激しい痛みに襲われることでしょう。

このような素早い動きは、運動野から下された指令によるものではありません。激しい痛みや熱さなどの情報は大きな危険を知らせるものであるため、できる限り素早く避けて被害を最小限に抑えることが必要です。

そこで、それらの情報を脳よりも早く受け取り、その瞬間に、避けるための指令を筋肉に向けて下しているのが、背骨の内側を通る脊髄です。

そして、このように無意識のうちに危険を素早く避ける動きが起こることを、脊髄反射といいます。なお、脊髄反射が起こったあとに、激しい痛みや熱さなどの情報が脳に届くため、危険を素早く避ける動きを終えたあとにようやく、「痛い」と感じることになります。

脊髄は、このほかにも、皮膚や筋肉などから脳に向けて送られた情報や、脳から筋肉に向けて下された指令の橋渡し役も担っています。

脊髄とは、神経線維が束になったものであり、太さは小指程度で、脳幹最下部の延髄から40~45cmにわたって伸びています。また、背骨と呼ばれる脊柱のうち、首付近にある頚椎から腰付近にある腰椎までの範囲の内側を通っていて、外部の衝撃などからしっかりと守られています。

<補足>

運動前などにストレッチをする際に、いきなりギュッと反動をつけて体を伸ばしたりしていませんか?

このようにして体を伸ばすと、急に筋肉が伸びたことが刺激となり、脊髄反射の一種である伸長反射が起きて、逆に筋肉がギュッと縮んでしまうため注意が必要です。

そこで、ストレッチを行う際は「じんわりと伸ばす」ことを意識しましょう。痛みが出る直前のところで止めて、呼吸をしながら30秒程度伸ばすといいでしょう。

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