No.85 診察室血圧と家庭血圧

s-DSC02253血圧の測定は、医療機関だけでなく、今では家庭でも測定している人が増えています。家庭用血圧計を使用すると、決まった時間に定期的に血圧を測定できるので、血圧の変動を容易に知ることができます。

また、家庭では安心した状態で血圧測定ができるため、医療機関での血圧測定より血圧の値は下がる傾向があります。そのため、家庭血圧(家庭で測る血圧)の高血圧基準値は、135/85mmHg以上となり、診察室血圧(医療機関で測定した血圧)より5mmHg低く設定されています。

また、1日の血圧変動がわかる検査に24時間血圧測定検査があります。上腕にカフ(血圧測定をする際に使用する腕帯)を巻いて行う検査で、腰にベルトで固定した記録計から24時間の血圧の変動を自動的に測ることができます。

24時間血圧測定の高血圧基準値は、130/80mmHg以上となっています。この測定は、医師の指導によって行われ、1日の血圧変動がわかるため、診察室血圧は正常でも早朝時や夜間など日常生活において血圧が高い「仮面高血圧」の発見につながります。

なぜ、「仮面」といわれるかは、家庭血圧では高血圧なのに、診察室血圧は正常の値を示すため、まるで仮面をかぶって高血圧であることを隠しているようにみえるからです。

仮面高血圧には、朝目覚めるときに血圧が急激に上昇する「早朝高血圧」や、夜眠っている間に血圧が下がらない「夜間高血圧」があります。これらは、病院では発見されにくいのですが、心血管病(心臓病や脳卒中など)を起こすリスクが高血圧の人と同じくらい高いので、治療の対象となります。

仮面高血圧のように医療機関での測定だけでは、高血圧の診断ができない場合もあるため、家庭でも血圧を測定する習慣が大切とされています。

Comments are closed.