No.1 口からはじまる健康<その1>

口の健康は、豊かな人生を送るための基礎となるものです。

人は生きていくために口から食物を取り込みます。そしてそれを体内で燃やしてエネルギーを産生したり、体をつくる材料にしたりしています。また口には「食べる」ということ以外にも「話す」「表情を作る」といったコミュニケーションをとるのに必要なさまざまな機能があり、身体的にも精神的にも健康な生活を支えています。このように、口の健康は食生活だけでなく、社会生活にも影響を与えるものであり、ひいては全身の健康にも関係しています。
消化が効率よく進むための条件
食物の成分が消化酵素によって分解され、吸収できるものへと変化させていくことを消化といいますが、効率よく消化を進ませるためには、おいしく、楽しく、よく噛みながら、味わって食べることが大切です。
消化には食欲が大きくかかわり、食欲がわくと体内の消化液の分泌につながります。食欲は食物の見た目や香り、食事をする雰囲気、また料理をする音などによって影響を受けます。味、色、香りなどの情報が統合されておいしいと判断されると視床下部にある摂食中枢が刺激され、食欲がわきます。
一方、まずい・食べたくないと判断されると満腹中枢が刺激されて食欲がおこらなくなります。食欲がわかない状態で食べると、体内では消化の準備ができていないため、うまく分解されません。またリラックスした状態でよく味わいながら食事をすると副交感神経が優位になり、消化酵素の多く含まれる漿液性の唾液が多く分泌されますが、緊張した状態で食事をすると交感神経が優位になり、粘液性の唾液が少量しか分泌されなくなるため、食事が喉を通りにくくなります。こうなると喧嘩状態で食事をするなど最もよくないみたいですね。
消化器に負担をかける原因のひとつに、よく噛まずに短時間で食事を取ることが挙げられます。満腹感はお腹ではなく脳で感じます。血糖値が上がることによって、食物が充分に入ったという情報が摂食中枢へ伝わり、食欲がコントロールされます。そのため、よく噛まずに食べると満腹感が起こらずたくさんの量を食べてしまいます。よく噛んで食べると唾液が多く分泌され、でんぷんの分解が速まって血糖値も短時間で上昇し、食べすぎを防ぐことができます。
また唾液が発がん性物質を消すまでには約30秒かかるといわれているため30回は噛むといいらしいですよ。
<よく噛むためのポイント>
  • 素材は大きく切る。
  • 繊維質の多い野菜、豆類、海藻類などを使う。
  • 柔らかめな煮物などの料理には根菜類や肉など硬めの素材を加える。
  • 焼いたり、揚げたりするなど、よく加熱をして水分を減らす。
  • なるべく薄味にして、よく味わう。

 

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