No.19 殻が白色と赤色の卵ではどちらの栄養価が高い?

栄養価が高く、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなど人間の体に必要な栄養素をまんべんなく含んでいるのがおなじみの卵です。

さて卵の殻の色は、白と赤の二種類がありますが、赤色の方が高い値段で売られていることが多いため、栄養価が高いと思ってしまいがちです。特別に育てられた自然卵は例外として、白色と赤色の殻の卵に栄養価の違いはなく、殻の色はニワトリの種類による違いです。日本では、白色の殻の卵を産むニワトリが小柄で、少ない飼料でも多くの卵を産み、品質の管理がしやすいため、最も多く飼育されています。そのためスーパーで大量に安価で販売できるわけです。一方、赤色の殻の卵を産むニワトリは飼育されている数が少なく、一羽のニワトリが産む卵の数も少ないため、希少価値が高くなり、値段が高くなります。

また殻の色だけでなく、「卵黄の色が濃いほど栄養価が高い」と思っている人も多いのではないでしょうか。ここでも卵黄の色と栄養価にも因果関係はありません。卵黄の色は、ニワトリへの餌の色によって決まります。赤い色素を含んだものを多く与えていれば濃い色の卵黄に、色素が薄いものを多く与えれば薄い色の卵黄になります。

栄養価とともに大切なのが、卵の鮮度です。では、卵を新鮮な状態で保存するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。まずは、卵を購入した後は冷蔵庫で保存しましょう。なぜなら、卵は栄養価が高いため、常温で保存するとサルモネラ菌が繁殖するのに好都合な環境になってしまいます。卵を新鮮な状態で保存するには、殻に丸みがある方を上側、とがっている方を下側にしましょう。卵の殻は外部から酸素を取り込み、二酸化炭素を放出しています。殻に丸みがある方を下側にすると殻と卵黄が接触しやすくなり、空気に触れて傷みやすくなってしまいます。

実は、卵自体も自ら卵黄が空気に触れないような構造になっています。卵黄に付属しているカラザと呼ばれる白いひも状の塊は、卵が回転しても卵黄を卵の中心に位置するように保ち、卵黄と殻が接触するのを防ぐ役割をしています。また、カラザには細胞を構成する「シアル酸」という成分が含まれており、外敵から卵黄を保護する役割があるので、取り除かないでそのまま食べた方がよいともいわれています。

さらに、卵は振動に弱く、温度の変化に敏感な食べ物です。ですから、卵を静かな状態で保存することも新鮮な状態を保つために必要です。卵の保存コーナーが冷蔵庫のドアについていると、ドアの開け閉めにどうしても卵が動いてしまい、最近では卵の保存コーナーがドアについていないタイプの冷蔵庫も増えてきているようです。さて、卵を割ったときに血の塊が入っていることがありますが、これは卵黄が卵巣から離れるときに卵黄の毛細血管が切れてしまったもので、食べても全く問題ありません。

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