No.40 冬の食養生Ⅱ(東洋医学)

■腎と膀胱を補う「熱」「温」の食物を取りましょう

「熱」や「温」の食物には、胃腸から体全体をあたためて内臓の機能を高め、気・血・水(津液)のめぐりをよくする働きがあります。熱や温の食物には、羊肉、唐辛子、シナモン、もち米、ニンジン、カボチャ、ニラ、生姜、ネギ、タマネギ、にんにく、ブリ鮭、鶏肉、黒豆、黒砂糖などがあります。このうち、生理痛にはシナモン生姜、肝臓にはニラ、肺には生姜、かぜにはネギが特に役立ちます。中国では、生理痛をやわらげるために、黒砂糖を加えた生姜汁を飲むことがあります。なお、冬は「涼」や「寒」の食物である生野菜、果物、ビール、清涼飲料水などは少し控えたほうがいいようですよ。

■腎に蓄えられる「精」を補う食物を取りましょう

「精」とは、体が生命活動を行うための基礎となる物質、つまりエネルギーのことを指します。飲食物から得た「後天の精」は、五臓六腑に供給され、それらの働きを維持するとともに、減っていく「先天の精」を補充しています。

後天の精を補う食物は、ヤマイモエビスッポンなどが代表的です。ヤマイモは、山薬(さんやく)という名前の生薬としても利用されています。

<追記>

高齢者は特に腎を補いましょう

年齢を重ねると、体を環境に適応させる力が弱くなるため、寒さ、暑さ、湿気などの影響を受けやすくなります。また腎に蓄えられた精が減り腎は耳に開竅(かいきょう)する」穴を開いて内側にこもった邪悪なものを外に出す)、腎の華は髪である」といわれている腎の働きが乱れるため、聴力低下や耳鳴りが現れ、髪が細く抜けやすくなり白髪が増えます。

また腎に蓄えられた精は髄を生み、骨髄は骨を養い、脳髄は脳を養いますが、精が減ると、骨の中に存在し骨の成長に関わる骨髄が少なくなり、骨がもろくなって骨粗しょう症が起こります。膝や腰も弱くなり、痛みを伴う症状が起こります。

なお、女性は血も減り、男性は精の排泄も減っていきます。腎に蓄えられた精が減ると、精によって維持されていた五臓六腑の働きも乱れ、さまざまな症状が現れます。

たとえば、肝の働きが乱れると、視力低下や眼精疲労、老眼が起こります。女性は月経がなくなります。

また、「心は血脈を司る」といわれている心の働きが乱れると、不整脈、高血圧、動脈硬化、狭心症など、脈や血圧、血管の問題が起こります。そして、心は精神活動も司っているため、記憶力が落ちたり、脳の働きが鈍くなったり、不眠になったりします。

「肺は皮膚を司る」といわれている肺の働きが乱れると、皮膚にシミや老人斑、かゆみが現れ、乾燥してざらざらします。また咳がでて、かぜや肺炎を引き起こします。さらに、体を少し動かしただけで呼吸が乱れたりします。

したがって、高齢者は、特に「腎」を補う必要があるわけです。

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