No.31 秋は肺の働きにご注意(東洋医学)

肺は五臓六腑の中で最も高い位置にあり、他の臓腑を傘のように覆っています。

「肺は宣発・粛降を司る」といわれ、気や水(津液)を全身に発散させたり、汗などとして体外へ発散させる(宣発)働きや、酸素や栄養素を体の下の方に送り出す(粛降)働きをしています。肺の抵抗力である肺気が足りないと、体全体のエネルギーが足りなくなって、全身的な症状が現れたり、肺気の働きの乱れからくる呼吸器系の症状が現れます。

全身的な症状としては、抵抗力が弱く病気になりやすい、元気がない、息切れ、風邪をひきやすいなどの症状が挙げられます。また、東洋医学的には、肺は大腸と協力し合って機能するため、大腸への影響もみられます。

さて、肺は呼吸を司る臓腑であり、肺の働きによって規則正しい呼気と吸気が保たれています。呼吸によって体内に入ってくるきれいな空気は気の原料になるものなので、肺が正常に働くことによって、気の生成が促進されます。そしてまた、規則正しい呼気と吸気は、気の運搬をコントロールしていて、肺の機能によって、気が全身にいきわたり、その結果、心(しん)の血液を巡らせる働きを助けたり、全身の新陳代謝を活発にすることにつながるわけです。

さらに、肺には水(津液)の輸送・排泄をコントロールする働きもあり、脾(ひ)から肺に送られてきた水(津液)を肺が全身に送り出して汗になったり、不要なものは膀胱に輸送され排出されます。肺の機能低下としては、呼吸不全や胸の痛み、せき、ぜんそく、痰、むくみ、便秘などの症状が現れてきます。また肺のトラブルは、皮膚や鼻に出やすいといわれています。普段、皮膚は気と水(津液)によって温められ、潤されているので、抵抗力を保つことができますが、肺の機能が悪くなると乾燥して皮膚が荒れてかさかさになります。また、鼻は呼吸の出入り口であるため、肺に障害が起こると、鼻づまりや、鼻水、くしゃみなどの症状が現れ、風邪をひきやすくなります。

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