No.26 心の働きが乱れがちな夏(東洋医学)

東洋医学では、夏は最も「心(しん)」が疲れる時期です。「心」の働きが乱れると動悸、不整脈など循環器系の異常のほかに、不眠や精神が不安定になるなどの症状が現れることがあります。

さて、東洋医学でいう「心(しん)」とは、西洋医学の解剖学的な心臓とは少し異なり、心臓をはじめ、血液循環器系や小腸を含めた部分を指します。

東洋医学では、「心は血脈を司り、神を蔵す」という表現があります。「血脈を司る」、つまり血液を全身に送る作用です。心気の働きで、心はポンプのように血液を押し出して、体全体にめぐらせます。この働きによって、同時に血中の栄養素をすべての臓腑や組織にきちんと行き渡らせることができます。西洋医学でいう心臓と同じ働きですね。

もうひとつは「神を蔵す」の「神」ですが、これはいわば「こころ」を指し、精神や意識、思考をコントロールする働きです。精神を安定させたり、意識や思考をはっきりさせるのも「心」によるものなのです。

さて、「心」と協力関係にある「小腸」は一度、胃で消化された飲食物をさらに消化して、水穀の精微(栄養分)と糟粕(不要なもの)に分類する働きを持っています。食べ物を吸収し、エネルギーに変えて熱源とする心の気が小腸に伝わり、小腸が温まることによってスムーズに行われています。

また、心に何らかのトラブルがあって、機能低下が起こっていると、顔色や舌に現れます。心気が不足しているときは、顔色や舌は白っぽくなりますし、心に瘀血(血の滞り)がある場合には顔色は青紫色に、舌は暗い紫色になります。具体的な症状としては、動悸や胸の痛み、不眠、精神不安定、物忘れが激しいなどがあります。また小腸の機能が低下すると、消化吸収が悪くなり、便や尿の異常が起こります。小腸の働きは、心の働きに影響を受けていますので、心のトラブルによって小腸の不調が引き起こされることもあります。

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